釣りが好き     

釣りといっても“海釣り”湖の釣り“渓流釣り”河口釣り“などがあります。私が好きな釣りは身近な防波堤からのクロダイ釣りです。

クロダイ釣りはある面、魚との知恵比べのようなものです。釣果をあげるためには針の大小、ハリスの太さ、オモリの軽重、ウキの感度など道具や仕掛について工夫することが大切になります。また、フグやセイゴなどの小魚にエサを取られないよう精米後の米ぬかなどでエサのオキアミを団子状に包みクロダイの居る海底まで届ける工夫をしなければなりません。当然ですが、水深あるいは水流の遅速いによって団子の固さや大きさを工夫することになります。よりよい釣果を上げるには、魚の生態、海洋学、気象学などのさまざまな学問領域の知識が必要となり、釣りの本や雑誌を漁ることになります。

因みに、東京都内の某大学教授が「フィッシングの科学」について彼奴に書かせろ、とのことで雑誌社より依頼され、急遽釣り実験もどきを試みたこともありました。結果は通説通りハゼやサヨリよりもクロダイを釣るのが難しいというものでした(体育の科学 VOL 42 2月号 1992)。

ところで多くの剣道愛好家はもとより剣道を専門とする剣道家らの多くは何故か「正しい剣道」を行うよう求められ、本人が好むやりで稽古や試合をやらせてもらえないのが実情ではないでしょうか。曰く、当てっこ剣道はよくない。勝負にこだわるのはよくない。無駄打ちがあるのはよくない。溜めがない。最悪なのは多くの剣道愛好家は趣味で取り組んでいるにも関わらずそんな剣道では「大成しない」と言われています。したがつて、学生剣道OB大会前日の稽古会でも多くの八段・七段剣道愛好家は本に書かれている二刀の構えはいうまでもなく上段、下段、脇構え、八相の構えから練習・稽古をする姿を拝見することは稀です。

中段の構えから無駄打ちのない打ちや勝負にこだわらない剣道を心掛けることも必要と考えられます。しかし、もっと大切な事は釣り愛好家の私のように、相手(魚種)に応じていろいろな構え(道具・エサ・場所など)や技(誘い、やり取り、捕食した口にハリ掛かりさせるタイミングなど)を駆逐し勝負・昇段(釣果)を勝ちとることではないかと思うわけです。誤解のないように付け足せば、真に剣道を楽しむためには剣道愛好家といえども勝つことを目指すことが大切と考えていますが。