夢剣士の願い                  

NPO法人日本武道修学院理事   恵土孝吉

    

東京オリンピック開催関係者のみならず参加選手は、ゴールドメダルを手土産に子供たちに夢を与えたいと寒心な物言いにビックリしました。

朝日新聞の論壇、時評で林東大教授が井谷聰子さんの記述を引用し「オリンピックは平和の祭典だ」という虚構から目覚めよと呼びかける。というのも近代五輪は、女性や性的少数者を排除し、開催地住民や先住民から土地を奪い、反対の声を無視して強行されてきた暴力的な歴史を持つ」と厳しい見方を示す。

不幸か幸いか、マイナー剣道はオリンピックに参画することも無く、多くの子供たちや多くの人々に夢を与えることが出来ません。剣道はサッカーを始め多くのスポーツ競技のように華々しくガッツポーズなど形式的にも慎み、発揮した技術や心のあり方を反芻する態度、姿勢、すなわち残心が求められているからです。残心とは、勝利者がガッポーズなど不適切な行為があった場合、主審は有効打突の宣告をした後でも、合議の上その宣告を取り消すことができます。

幸い平成24年度から中学校教育で1・2年生は柔道、剣道などが必修となりました。戦後以降の剣道は諸説あるが我が国固有の文化と捉え、竹刀を用いて打つ、かわす技術を通して有効打突条件、とりわけ相手を思いやる残心を学んで頂きたいと願う者です。