対話室 

 

対話その1 (平成27年10月日本武道館 某先生方)

 --若い時にいろいろな構え・技学んでみよう--

札幌の天候、大荒れでしたが、無事帰宅されたものと拝察しております。その上で、武道館での○先生、○先生との忌憚のない対談、スパッと日頃のストレスが消滅し、力強い活力を頂き帰路につきました。ありがとうございます。

 その折、話題となったNPO法人10年記念DVD動画「恵土先生だら出来る」との感想。他の人からも同じように言われました。

 そこで思い出すのは第一回全日本剣道選手権保持者愛知のササキバラ正先生。当時35歳、選手権を取ってから二年ほど経った稽古日。先生が上段を初めて取られました。稽古にこられていたササキバラ先生の師、○先生が、ササキバラ君、まだ上段を取るのは早いよと止められた。それ以来ササキバラ先生の上段を見ることはありませんでした。一方で、これは私の推察ですが、平成時代は兎に角、昭和の時代では多くの高校生のみならず大学剣道部員は上段を取ることは「先生に対して失礼とか、勝つための手段として好ましいことではない」などなどの理由でご法度であったと思います。恐らく先生の母校○○大学剣道部でも、上のような理由で特別な生徒を除いて許可は下りなかったのではないかと考えていますし、ましてや上段の構え、二刀の構えにマトを絞った稽古日は、あっても二三回ではなかっと考えています。

 言うまでもなく、どのような技術でもその技術を習得するには若い時に学ぶことが効果的です。剣道の本には構え方だけでも五つあります。技に至ってはしかけ技、応じ技合わせて40はあると思います。更に言えば二刀の構えを入れれば更に技は増えます。若い剣士に少なくとも中段の構えだけではなく、上段の構え(左右)、二刀の構え(正逆)について指導しておくことが重要と考えています。

 因みに、剣道経験が皆無でも週4回二時間程度3年も右上段を練習すれば試合で良い成果を得ることは可能です(剣道日本2001年1月号、  金沢大学教育学部紀要 教育科学編 第52号 Pp10〜15参照)

 

 剣道が世界に広まっていく時(剣道文化の変容)、日本の若手剣士のみならず高校生らが中段の構え、上段の構え、二刀の構えから多彩な技を巧みに発揮できるようにしておくことは喫緊の課題と考えています。